5月中旬になって一気に円安が進み、1ドル100円の壁を超えて、この記事を書いている時点で102円まで進んでいます。
エコノミストには、今後円安はさらに進み、今年度末には1ドル110円までいくと考える人もいます。
2012年11月時点で1ドル80円でしたから、25%も円安になったことになります。
円安になると、輸出は有利になり、日本の中心産業である自動車や機械産業は業績が上向いています。
それにともなって株価も上がり、現在景気回復の最中で、安倍内閣の支持率は高水準で推移しています。
それを裏返せば、諸外国は日本への輸出が難しくなることを意味しますので、この円安は諸外国からの反発を招きそうです。
ですが、麻生財務大臣の発言にもあるように、先週末のG7(各国財務大臣の話し合い)では、特に日本への非難はなかったそうです。
これはどうしてでしょうか?
今日は「なぜ円安が進んでいるのか」と「なぜ諸外国は文句を言わないのか」について考えてみたいと思います。
1.「なぜ円安が進んでいるのか」
今までは円高でした。
つまり、世界中の人が「円を買って、保有している」状態だったのです。
それが現在では、それらの人が、保有していた大量の円を「売っている」状態なのです。
たくさん円が売られるので、当然円の価値は下がり、円安になります。
また、現在のアメリカ経済が上向きであることも理由の一つです。
多くの人が「円よりもドルを持っておく方が得だな」と考えて、円を売ってドルを買います。
ここでも円が売られ、円安になるのです。
円安が進んでいる大きな理由は上記の二つでしょう。(もちろん、他の要因もありますが)
全体で見ると複雑ですけど、一つ一つを見れば、思いのほかシンプルなのです。
ちなみに、現在の相場が円安“すぎる”ということはないでしょう。
2008年あたりでは、1ドル108円くらいだったと記憶していますので、むしろ以前のレベルに戻っていると考えて良いはずです。
2.「なぜこの円安に対して、他の国は文句を言わないのか」
これにも二つ理由があります。
一つ目は、“日本が好景気になると、みんな得をする”からです。
つまり、日本の景気が良くなれば日本が色々なものを買ってくれると考え、日本の円安に対して文句を言わないのです。
おそらく、日本の貿易赤字はそれほど減らない、というか増えているのではないかと思います。
自分の国が儲かれば、文句を言う必要は無いですよねぇ。
二つ目は、“日本の真似をして、自分の国の経済を復活させるのもアリだと考えて始めている”からです。
特にヨーロッパはあまり景気が良くないですから、上手くいっている日本を真似するべきかなぁと考え始めたわけです。
そうなった場合、今の日本に文句を言うと、将来的には自分の国に返ってきてしまうわけで、文句を言わないようにしようとするのは当然です。
二つをまとめれば、「自分の国が得するなら、別にいいや」ということなのだと思います。
国際経済では、いかに自分の国の利益を守るかが重要で、そのための方法は選ばないという傾向はあります。
日本にはこの姿勢が若干足りないと思うのは私だけではないはずです(笑)
今日はこれで終わりです。
何というか、現在日本が世界経済の中心に戻りつつあるのを感じ、少しうれしいです。
今後、うまくリーダーシップを取れる国になれるといいなぁと期待しています。
日本人は悲観的ですが、この国はそう捨てたものではないですから、中高生の皆さんも楽観的にこの国の将来を見てください。
みながそういう雰囲気を出せば、きっと全体も良い方向に向かうと思いますので。
それではまた明日。