国語 過去問

過去問演習のサポート[東洋大学2015年度2月8日国語 古文編]

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先日本当に久しぶりに映画館で映画を観る機会が取れました。
この前に行ったのがいつだったか思い出せないくらいなので、少なくとも5年以上は前になるのでしょう。
夕方終わる回ということもあってなのか、劇場には両手で数えられるほどの人数しかいませんでした。
確かに上映からしばらくたってやや狭めのところに移ってはいたのですが、映画業界のことが不安になってしまうほどでした。
DVDなどの普及ですぐに最新作を低料金で、しかも自宅で見られるということが大きいのでしょうかね。

では、今回から設問ごとのチェックに入ります。タイトルの通り、まずは2015年2月8日の古文からです。
出典は『無名草子』で、紫式部が『源氏物語』を創作した時の軽いエピソードについて書かれた部分です。
文章は読みやすく、難しい古文単語もそれほど見受けられないため、高得点が期待できそうですが、問題文だけでは何とも言えないので設問をひとつづつ見ていきましょう。
ところで、この問題文にも中宮彰子が登場しますが、人物関係はきちんと押さえられているでしょうか。
古文に取り組むうえでの一般常識とも言えますので、
 ・中宮彰子に仕えたのが紫式部
 ・中宮定子に仕えたのが清少納言
この程度は最低限でも知っておくべき事柄です。中宮に仕えたふたりの代表作は中学生レベルですが、それぞれの中宮の父親が誰であるのかも系図などで確認しておくとよいでしょう。
実際にこの過去問を解いた生徒さんたちには背景知識がほとんどなかったため、何となく読んでいるような状態でした。
演習を行なった作品の中に『大鏡』もあったのですが、人物関係が分からないため注釈で「藤原兼家」「藤原兼通」とあってもまったく意味がありませんでした。
いわゆる古文常識とともに、ある程度の代表的人物は押さえておくのが望ましいでしょう。

それでは順番に進めていきましょう。
<問1:設問数5>
 動詞の活用の種類を問う設問。基礎中の基礎と言える設問で、各選択肢を一度しか選べないため、さらに取りこぼしをしにくいようにしています。
 ある意味これはサービス的な要素なので、ここで間違えるようでは今までの学習に相当問題があったと言うしかありません。
 必ず全問解けるようにしておきましょう。
<問2:設問数3>
 助動詞の用法を問う設問。助動詞をきちんと押さえられていれば特に問題はありません。
 ただし「らる」がふたつ出題されているので、助動詞「る」「らる」の用法の識別を、一般的なルールに従って理解しているかがポイントです。
 この問題文では「らる」の部分の主語が明示されていないので、主語の把握も重要なポイントですね。
<問3:設問数3>
 本文中への助詞の挿入。選択肢には有名な副助詞と係助詞が並べられています。
 設問Zを解くためには内容理解も関わってくるのでやや難しいと思われますが、設問XとYに関しては確実に得点しなければなりません。
 ひょっとすると「やは」「かは」が、係助詞「や」「か」に「は」が付いたものと知らない可能性もありますが、押さえておくべきところだと思います。
<問4:設問数4>
 動作の主体を判別する設問。どの設問にも敬語が含まれているので、敬語の知識がしっかりしていれば敬語の種類から主体を判別することも可能。
 裏を返せば、敬語の知識・理解が必須とも言えますね。ただ、問1と同様に、各選択肢は一度しか選べないので、分かりやすいところから解いていけば難度は下がります。
 設問イが二方面敬語になっているので、やや難しいでしょうか。とは言え、イ・ウ・エは話が続いている部分なので、きちんと主体を把握しながら読み進めたいところです。
 設問アについては問題の前説にある「設定」をきちんと読めていたかどうかで正誤が決まります。
<問5:設問数1>
 指示語の設問。やや難しいと思われる設問です。
 ほとんどの場合は、指示語の内容をとらえる際には指示語の直前部分からチェックし始め、前へ前へと遡って探していくはずです。
 しかし、本問の場合、前を見ても明らかに何も該当するものがないため、戸惑った受験生も多いのではないでしょうか。
 この部分は「目を覚ました筆者が寝たふりをして話を聞いている」という記述があるように、会話の一部を切り取って記述していると考えられます。
 そのため、指示語の部分が会話の冒頭ではない可能性があるので、筆者が聞いている話の内容を追っていくと、指示語の後ろに指すものがあると分かるのではないでしょうか。
<問6:設問数1>
 内容理解に関する設問。一見すると難しそうに見えますが、ちょっとした言葉に気づければ、あとは古文単語の知識で解けてしまいます。
 設問に「最初どのように思っていたのか」というような言葉がありますが、問題文中にこれに該当する言葉を探すと「参りけるはじめばかり…」とあります。
 ここに気づけばもう古文単語の知識で選択肢をひとつに絞れるはずです。
<問7:設問数3>
 傍線部を解釈する設問。センター試験や私大の選択式タイプの設問では、解釈する設問と言っても着眼点はまずふたつです。
 ひとつは古文単語、もうひとつは古典文法です。もちろん、どちらから攻めても構いません。設問によってはどちらか一方で解決することも多々あります。
 つまり、前後関係で意味がきれいに通るとしても、古文単語の意味ないし古典文法上の用法に存在しない解釈がされている選択肢は誤っているということです。
 これは常に共通ルールとして忘れないように心がけるとよいでしょう。
 具体的には、Ⅰは「その折」に、Ⅱは「何をか」と「参らす」に、Ⅲは「何かは」と「はべる」に着目すると良いでしょう。
 ここでも「か」と敬語が出てきているので、きちんと古典文法を学習しておくことの意味を認識できるかと思います。
<問8:設問数1、解答数2>
 内容真偽に関する設問。正しいものをふたつ選ぶ形式。選択肢の数は7です。
 それほど紛らわしい内容のものはないので、本文に沿って該当箇所と照らしあわせていけば解答にたどり着けるかと思われます。
 この場合もやはり古文単語の知識は非常に重要です。古文単語の意味を取り違えないよう正確に押さえておくのが望ましいですね。
 取り組む際には間違っている記述の部分に線を引き、本文のどの部分と違っているのかをきちんとチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。
 現代文にも言える共通ルールですが、仮に客観的に正しい事実が書かれた選択肢があったとしても、問題文中にその記述がない場合は間違った選択肢になるということは忘れないようにしましょう。

[2015年度2月8日国語 古文:解答数22]

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