文系数学 過去問

数学インプレッション 東京女子大(2014-2月3日)特別編

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こんにちは、ナンバー・ゼロです。

2月も一週間が過ぎ、受験も本格化してきましたね。
まだまだ寒い日が続きますが、きっと寒さなど感じないくらいに受験に集中していることでしょう。
ただ、それくらいの集中力があったとしても風邪は引きますから、防寒対策等しっかり準備してくださいね。
インフルエンザで受験できないなど、洒落になりませんからね。。。

火曜日は『数学インプレッション』。今回は、東京女子大2月3日入試(2014年度)です。
年度も古いですし日程的にも過ぎてしまいましたが、記述の問題として良いと判断しましたので、今回取り上げることにしました。
2月後半は国立大学の入試が行われるわけで、それに向けてやってみて欲しいのです。良い問題ですよ。
今回も前回と同じく、前後半まとめて特別編としてお送りします。

1.受験概要

受験方式…一般入試
受験科目…英語・国語・社会or数学
配点…英語・国語(各150点満点)・社会or数学(100点満点)

上記の概要は文系学科の場合です。理系学科ですと科目自体が変わってきますので、ご注意ください。
東京女子大は私立女子大の名門です。
昨今女子大を選ぶ受験生が減ってきていると言われますが、それでも人気を集める大学です。
OGにも著名な方が名を連ね、社会的にも認知されていることは間違いないでしょう。

入試日程が早めで、MARCHの受験が本格化する前に試験を受けられますから、受験者層は被っているものと思われます。
偏差値はそう高くは出ていませんが、偏差値以上に難しいなと感じる入試になるでしょう。
ですから、偏差値だけ見て軽く考えていると痛い目にあってしまいます。気を引き締めていきましょう。

2.大問外観

<全体像>
大問数…4
試験時間…60分

大問数、試験時間はごく標準的です。
特筆すべきはその問題形式で、全て記述式です。
問題の難度としてはセンターと同等かそれより少し易しいか、といったところですが、記述という要素が入っているので体感難度はセンター以上かも知れません。
国立を併願する受験生は問題はありませんが、私大専願の受験生はとかく記述を嫌がることが多いですので、そのあたりが受験するか否かの判断基準になってしまうでしょう。
毎回書きますが、こういったことで受験を断念するのはもったいないですから、日頃から記述することを心がけて勉強しておきましょうね。

<第1問>
単元…漸化式
形式…記述式
小問数…3
目標到達度…完答

隣接二項間漸化式と隣接三項間漸化式です。
漸化式というと苦手意識を持っている受験生は多いと思いますが、これは易しいです。
(1)と(2)は指示に従って計算していけば、すぐに答えが出てきます。

お決まりのパターンですが、
①:初項(b1)の値を求める
②:bn+1をanを用いて表す
③:②でつくった式の中に、bnの一般項を探し、それをbnに置き換える
④:bnについての二項間漸化式が完成
⑤:bnの一般項を求める
といった流れで、特性方程式を使わずとも解けるわけです。

(1)と(2)は同じですから、ここでの得点差は大きいですよね。
ですので、是が非でも得点しておきたい問題なのです。

最後に(3)は、(1)と(2)で求めた一般項を辺々差し引いてan+1を消します。
そうするとanだけが残るので、後は式をきれいにしてあげるだけでOKです。
(3)までたどり着ければ易しいです。必ず出来るようにしましょう。

ちなみに、bnとcnの一般項を具体的な数値を出してから求める方法はここではダメです。
b1=4、b2=12、b3=36から、初項4公比3となるわけですが、それを満たす数列は他にも存在します。
これがマーク式であれば得点になるわけですが、数学的には全く正しくないので、記述式ではNGなのです。
日頃から注意して勉強しておかないと、土壇場で困ってしまいます。
私大専願の人でも、記述は疎かにしないでコツコツと頑張りましょう。

<第2問>
単元…整式の除法
形式…記述式
小問数…1
目標到達度…部分点を狙う

これは一番難しい問題だと思います。
よく見る問題で簡単に解けそうな印象を受けますが、力技の解法を選択してしまうと虚数の計算が出てきてしまい、ちょっと時間内には厳しいかもしれません。
ここでのポイントは、

***********************************

という整式の性質です。
これを使えれば、比較的短い時間で正当にたどり着け、おそらくその受験生は限りなく合格に近づけたでしょう。
この類の問題は解ける人とそうでない人の差が点数になって表れやすいので、万全の対策をすることです。
計算力がある人であっても、ここに時間を使うということは他には時間を使えないということですから要注意です。

<第3問>
単元…図形と方程式
形式…記述式
小問数…2
目標到達度…完答

この問題はおそらく一番易しい問題です。
(1)は中学生でも解けるレベルで、(2)も正三角形という親切設計のおかげで非常に解きやすい。
「三角形ABCが正三角形⇔AB=BC=CAが成り立つ」ので、Cの座標を1つの文字で表して「AB=BC」を使えば終わりです。
一行で説明が終わってしまうくらいなのですから、必ず完答できるようにしてください。

<第4問>
単元…不等式の表す領域
形式…記述式
小問数…1
目標到達度…完答

これもまたよく見かける問題ですね。
まず確認しておくと、「x+y=k」などとおいて「y=-x+k」と直線の方程式にするのが最初のステップです。
その後は不等式の表す領域を図示して、先ほどの直線との位置関係を見ればよいですね。
ここでは最大値・最小値なので、y切片のkの値を考えます。
切片が最も大きくなる→x+yは最大、切片が最も小さくなる→x+yは最小、となります。

注意するのは、直線がどの位置にあるときに最大・最小になるのかで、放物線と放物線の交点を通るのか、それとも放物線と接するのか、グラフだけで判断すると危険なので、念のため計算してみることをおすすめします。
ここでは、最大値の方は問題にならないと思いますが、最小値は”原点を通るとき”ではなく、”下に凸の放物線に接するとき”です。
それぞれ計算してみれば確信を持って答えられますから、手間を惜しまないでください。

全体としてみると、それほど難しい問題構成ではないです。
ただ、これは記述式であり、細かく減点され得るわけで、それを加味すると適度な問題レベルだと感じます。
これから国立大学の受験が行われるわけですが、その準備としても適した問題です。
記述の正当性まで視野に入れて練習することが出来ますから、解いて添削を受けてみてください。

本日は以上です。
受験生のみなさんの健闘を祈ります。

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