引き続き「POLARISシリーズ」を取り上げていく、テキスト紹介コーナー。前回まで「英文法シリーズ」を取り上げていましたが、今回から「英語長文シリーズ」を取り上げていきます。
英文法の「発展レベル」の対象が『センター試験(筆記)200点、英検準1級』となっていることから考えると、このレベルに手を出そうとする受験生の皆さんであれば、学習のステップや取り組み方を理解されていると判断し、英文法の「発展レベル」の紹介は後日ということにしました。
ということで、今回のテキストは、学研の「関正生の英語長文POLARIS1 標準レベル」です。
このテキストは、2016年8月の発売で、実は「英文法シリーズ」より先行して発売されています。それぞれの生徒さんの通われている学校や、英語の実力などによって、何をどう使うかは賛否両論あるでしょうが、いわゆる英文法の教材は問題数の多いものが数多く出版されていて、演習量という観点からは困ることはあまりありませんでした。
それに比べて、英語長文あるいは長文読解の教材は、解答解説を詳細に記す問題集の場合、必然的に問題数が減ってくるので、それなりのペースで演習を進めていくと取り組むものがなくなってしまうため、新しいものが出たという際に感謝の気持ちとともに購入したことを覚えています。
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1.特徴
一番の特徴は、長文の総語数でレベルを設定していないことです。従来の英語長文の問題集だと、例えば、200~300語くらい、400~500語くらい、600~800語くらいなどでレベルを分けて、シリーズを構成しています。
しかし、受験生の皆さんも経験上お分かりかと思いますが、長いから難しい、短いから易しい、というのは取り組む際の気分的な問題であって、文章の抽象度が高かったりすると、かえって短めの文章の方が難解だったりするものです。
実際にこのシリーズに取り組んでみると、英文の長さは関係なく、同じようなレベルの問題で構成されているのが分かるのではないでしょうか。
2.長所
前書きにある通り『最新の入試問題からセレクトした』問題であるため、長文のテーマが、最近の日常生活・社会でよく話題にされる内容になっています。それこそ、今までの問題集にスマートフォンやクルマの自動運転をテーマにした問題はなかったのではないでしょうか。
最近の話題という観点からも、単語帳であまり重要視されていない単語が実は入試では頻出となっている点なども織り込まれており、同様に前書きに記載されています。解説の単語チェックもしっかりやるとよいでしょう。
また、1文ごとの『構文解析』もついているので、精読をしたいという場合にもほんの一部を除けばしっかりと読み込むこともできます。
3.使用上の注意点
長文の「標準レベル」の対象とするレベルは『中堅私立大(成城・成蹊・獨協・明治学院・西南など)』とされており、英文法の「標準レベル」よりも高めのゾーン設定になっています。そのため、中身を見ずに英文法と同じ感覚で取り組むのは危険です。
実際に使用した受験生の皆さんのコメント、あるいは私自身の印象も含めて話をすると、設定されている『中堅私立大』のレベルよりは上であるという内容です。ただし、成城大や明治学院大など実際の偏差値と比べると入試問題が難しめのものであること、記述が比較的多いことなどを考えると、取り組んでおく意味はありそうです。
実際に私が授業で使用した場合の一例ですが、その生徒さんはオールマーク式の大学が第一志望であったため、記述式問題のLESSON5、7、10は扱いませんでした。
また、使用した受験生の皆さんのコメントでよく見かける「意訳の部分の説明がなくて分からない」というものですが、その部分はこのレベルでは必要ないと判断すべきで、関先生もそれを前提として書かれているのでしょう。
このテキストに限らず一般論になりますが、自分の目標とする大学では何を必要とされているのか、さらに実際の入試問題でどの問題をどの程度得点すれば合格できるのか、きちんと見極めることは必須です。極論を言えば、満点は必要ないのですから、どこをどう得点するべきなのか考えながら取り組むのがいいでしょう。
それではまた。