昨日の国公立大学編に続きまして、今日は私立大学編をお届けします。
対象とするのは、私立大学の最難関である早稲田大学・慶應義塾大学です。
私立の両雄である早稲田と慶應ですが、その英語は大きく異なります。
早稲田は学部間で問題が似ていることもあり、他学部を併願しても、それほど大きな負担増にはなりません。
しかし、慶應はそうではありません。
学部によって問題形式が大きく違うので、大学内での併願が難しく、併願する場合には大きな負担増になってしまいます。
「早慶」と一括りにしても、その中身は多種多様なのです。
それでは、今春行われた英語の入試問題のテーマを見ていきます。
まず早稲田大学です。
「グラミン銀行」(文化構想学部)
グラミン銀行とは、南アジアを中心として存在する貧困層向けの金融機関です。
低金利で無担保融資を行い、生活の質の向上を目指す金融機関で、2006年のノーベル平和賞を受賞しています。
グラミン銀行について知っていた受験生はさほど大きくないのかもしれませんが、
「貧困」についてある程度の知識を持っていれば、銀行の意図することなどを読み取れたのではないかと思います。
当たり前のことですが、発展途上国に日本の常識を持ち込んでも、通用するはずがありません。
自分の視点からだけでなく、他者の視点に立ってものごとを考える重要性を理解しておく必要があります。
「中国政治についての歴史」(社会科学部)
これは昨年夏以降、中国で反日デモが多発したことからテーマになったのでしょう。
これも上の内容と通じますが、日本の政治と中国の政治は別物ですので、同じ判断基準で見てはいけないということです。
事件以降、ニュースや討論番組でこの話題は頻繁に取り上げられていたので、全く知らない受験生はいなかったでしょう。
それらの知識に加えて、世界史の知識があると幾分か楽に読めたろうと思います。
次に慶應義塾大学です。
「ウェブでのパーソナライゼーション」(環境情報学部)
これは最近盛んに使われている、facebookやgoogleなどのソーシャルメディアについてのテーマです。
これらのサービスはとても便利で楽しいものですが、そこには個人情報流出の危険性が伴いますので、安全に使うにはそれなりの知識が必要です。
英文では、パーソナライゼーションにおけるfacebookとgoogleとの考え方や取り組みの違いなどが述べられており、知識がある人とない人とでは相当な差が出たと思われます。
誰もが使っているサービスですが、何も考えずに使うのではなく、自分が何をしているのかに関心を持ちながら使って欲しいということなのでしょう。
「オープンソースソフトウェア」(環境情報学部)
これは大変専門的な話題ですね。
オープンソースとは、設計図が一般に公開されたソフトウェアのことです。
誰もがソフトウェア作りに参加できるので、ここ数年の間でオープンソース化が進んでいます。
有名なソフトウェアで言えば、スマートフォンで使われるAndroidですとか、無料のオフィスであるOpenOfficeなどがあります。
もちろん、詳しい話は私にも分かりませんし、そこまで分かる必要は無いのでしょうが、「オープンソース」とは何かを知っているだけでも大きな助けになったと思います。
学部の専門性から、このようなテーマが採用されたはずですので、志す人はそういった準備もしておく必要があります。
こうやって見てみますと、私立大学では国公立大学よりもディープなテーマが採用される傾向にあります。
これは学部ごとに問題が異なることが原因で、専門性に合わせたテーマ設定になっています。
ですので、自分が志望する学部の専門内容については、受験前にある程度知識を深めておくことが好ましいでしょう。
そのためには、新聞やニュースに触れるだけではなく、新書を読んで興味を持った分野について深めていく必要があります。
また、大学生や社会人など、見識がある人と議論をして、多種多様な見方を知ることも重要です。
もちろん、当教室に足を運んでいただければ、私が全力で対応致します(笑)。
それでは良い週末をお過ごしください。