こんにちは、ナンバー・ゼロです。
2月も下旬に入り、もう国公立大学の前期試験まで数日を残すのみです。
私大志望の方はもう受験も終わり、結果待ちという方も多いでしょう。お疲れ様でした。
国公立大を受験する方はあとひと踏ん張りです。
難しいと感じるのはみんな同じです。過剰な恐怖心を抱かずに、自分を見失うことなく取り組んでください。
火曜日は『数学インプレッション』。今回は、横浜国立大学経済・経営学部後期入試(2015年度)です。
入試直前期ですので、今回も前後半まとめてお送りします。
前回は前期試験を取り上げましたが、今回は後期試験です。
1.受験概要
受験方式…一般入試
受験科目(二次)…【経済学部】英語or数学、【経営学部】英語・数学
配点…【経済学部】800点満点、【経営学部】各200点満点
経済学部と経営学部で科目等が変わってきますので、気をつけてください。
経営学部はよくある配点パターンで、特に書くことはないのですが、経済学部は1科目入試という大胆な設定。
英語か数学かという選択ですが、どちらも難しい問題ですから、過去問を解いてみるしかないと思います。
数学は大きく下振れすることもありますが、この問題形式であれば英語でもその可能性はあります。
過剰な下振れを恐れるのであれば、経営学部に出願するのがベターですが、どちらにしても易しくはないですね。
どちらの学部もセンターの比率は大きいので、リサーチの結果を見て判断することになろうかと思いますが…
2.大問外観
<全体像>
大問数…4
試験時間…120分
前期試験の「大問3で90分」の問題構成から、一回り増えて「大問4で120分」となっています。
加えて、4問のうち3問は理工学部との共通問題になっておりまして、難度も上がっていると考えてよいでしょう。
受験者の中には、前期で旧帝大以上に不合格になった方が多いはずで、それに合わせて問題も難しめにしているのかもしれません。
そのゾーンになると、前期試験の問題ではあまり差がつかないはずなので。
ここ10年ほど、後期試験を廃する国公立大学が増えていて、その受け皿になっていると考えられるでしょう。
科目数の違いを考慮する必要はありますが、偏差値も前期比で5ポイント上がっていて、競争の厳しさが伺えます。
<第1問>
単元…平面ベクトル
形式…記述式
小問数…2
目標到達度…完答
この問題は、理工学部との共通問題です。
前期でも出題されていたベクトルですが、明らかに後期の問題のほうが難しいです。
とはいえ、この問題セットの中では解きやすい問題になっているため、なんとか完答に持っていきたいです。
まず(1)ですが、ここのポイントはベクトルOCとODをa(OA)とb(OB)でどのように表せるかが全てです。
ここで”OC=sOA+tOB”とおいてしまうとそこで詰みです。
CとDは線対称の点なわけですから、それぞれ文字を一つ使えば表せるのです。当然ながら無駄な設定ではないので、頭をフル回転させましょう。
“OC=-OA+sOB”などとおければ、後はACとOBが直交することを用いて内積で処理できますね。
計算自体は易しいですが、計算に入るまで一山あるのでちょっと大変かもしれません。
(2)は(1)が解ければいけるんじゃないでしょうか。
EとFは線分DCを内分する点になるのはすぐ分かりますから、それほど難しくないです。
気を抜かないできっちり答案をつくってください。
<第2問>
単元…確率
形式…記述式
小問数…2
目標到達度…(1)は抑える、(2)は完答近くまで
センター試験で出てきそうな問題ですが、これも理工学部との共通問題です。
この問題のややこしさは「場合分け」でしょう。まあ確率の問題では大体そうなんですけども。
まず整理しておくと、この問題ですと点が3通りの移動の仕方で動きます。
ですから、単純に反復試行の公式を使って済む問題では無いのです。
うっかり勘違いをしてしまうと、全く点をもらえない答案になってしまうので注意しましょう。
まず(1)ですが、これは是が非でもとりたい問題です。難しい問題では無いので。
内容を見ていくと、「4回後にQがBにある」とありますね。
これが何を意味するかといえば、”6は一回も出ない”ということですね。6が一回でも出たら4回でBには着きませんので。
あと一つのポイントは、「1回目と2回目に続けてy軸方向に進むと、4回ではBに着けない」ということです。
x軸方向へ1進む(1,2,3が出る)→x、y軸方向へ1進む(4,5が出る)→y、動かない(6が出る)→zとするならば、”yyxxのときだけ”は不可だということです。
その点に留意して、反復試行の計算をしましょう。
(2)は(1)を発展させた問題で、ここにきて”点が動かない”という設定が生きてきます。
上述のx・y・zで表せば、条件を満たす目の出方は3パターンになります。
[1]:xが2回、yが2回、zが1回(yyxxの並びは不可)
[2]:xが3回、yが2回(yyxxxの並びは不可)
[3]:xが2回、yが3回(yyyxxの並びは不可)
カッコ内の条件に注意してください。この場合ですとBには着けません。
納得ができなければ、実際に点を動かしてBに到着できないことを確認してください。
計算自体は(1)と同じなので、分数の処理に注意しつつ答案をつくってください。
<第3問>
単元…不等式の証明・数学的帰納法
形式…記述式
小問数…3
目標到達度…(2)までは抑える
証明の三連発です。
好きな受験生はあまりいないと思いますが、手が出ない問題では無いので(2)までは頑張りましょう。
(1)と(2)はシンプルな不等式の証明です。
(1)はxとyの大小で場合分けして証明すれば終わりです。
念のため書いておくと、
x≧y>0のとき→プラス×プラス≧0
y≧x>0のとき→マイナス×マイナス≧0
です。まあこのくらいはサクッとやっつけましょう。
(2)ですが、(1)の結果を使って証明します。
「左辺-右辺≧0」の方針で進めればOKで、左辺に移項して式変形していけば(1)の式が3つ出てきます。
このような対称式では毎度毎度同じような式変形をさせるので、別段意識なく解くことが出来た受験生もいたでしょう。
(3)は数学的帰納法を用いて証明します。
やってみれば大して難しくはないのですが、手を出せなかった受験生もいたでしょう。
(2)の結果を使うのですが、これは数学的帰納法の問題では定石です。
「どうなるんだろう…」と先を探るのではなく、「この形はどうやったらつくれるだろうか」と結論からお迎えに行く習慣をつけましょう。
何度となく見たことのある問題ですので、この問題を解けると解けないとでは大きな差がついたでしょう。
苦手意識がある人は基本パターンを反復して叩き込んでください。そうすればある程度決まった解法を使いまわしていることにきがつくはずですので。
<第4問>
単元…高次方程式・不等式の表す領域
形式…記述式
小問数…2
目標到達度…部分点を稼ぐ
この問題は理工学部との共通問題です。
私個人的にはこの問題が一番難しいのではないかと思います。
一見簡単そうですけど、一歩間違えると堂々巡りになってしまいそうな問題です。
(1)ですが、手が止まるとしたらここです。
まず接点を文字(ここでは接点のx座標をpとする)でおいて、その点での接線の方程式を求めます。
そして、その接線は点A(s,t)を通るので、sとtを接線の方程式に代入します。
そうするとpの三次方程式が出てきますね。
接点は3個存在しなければならないので、この三次方程式が異なる3つの実数解を持つ条件を考えればよいわけです。
そのためには三次関数としてグラフをかいて、極大値と極小値の積が負になる領域を図示すればOKです。
次に(2)です。
(1)が出来てしまえば、これは方針が立てやすかったのではないでしょうか。
α、β、γは(1)の三次方程式の異なる3つの実数解なので、解と係数の関係を使えばよいのです。
「α、β、γはこの順に等差数列」などの条件を使って、文字を減らしていけばいいですね。
とは言いつつ、これは個人的には嫌な問題でした。
早々に切り上げて、他の問題に時間を使うのも手だなと思います。
全体的な話をすれば、理系の問題が多いので難度は文系数学としては高めです。
それでも時間さえかければ解ける問題もあるので、センターでアドバンテージを持っている受験生はある程度結果を計算できるでしょう。
前期と後期に共通することですが、難しい問題でもパターン問題であることに変わりはありません。
パターンが身についているかいないかで数百点規模の差がついてしまうでしょう。
対策としては、一冊難し目の問題集を選び、パターン学習をすることでしょう。
標準的なものですと、おそらく差を”つけられ”ることはあっても、差を”つける”ことはできないはずです。
具体的にテキスト名を挙げるのは難しいですが、文系最難関を意識したものを選ぶべきでしょう。
チャートであれば青チャートかと思いますが、時間的な制約が厳しいので万人には薦められません。
学校の先生、塾の先生に相談して決めるのが最善かと思います。
本日は以上です。
受験生のみなさんの健闘を祈ります。